従来の冷凍方式の問題点
従来の冷凍方式は、家庭用の冷蔵庫にみられるエアーブラスト方式(空気凍結)が主流です。しかし、エアーブラスト方式は解凍する際に味が落ちてしまうという問題があります。これは解凍後の細胞破壊、冷凍焼け・酸化、油焼けなどによるものです。「良い凍結」と「良い保管」が出来れば、食品は限りなく凍結前の味と食感を再現することが可能です。
冷凍による細胞破壊
食品細胞内の水分は、冷凍によって氷の結晶に変化
ゆっくりとした冷凍方法(緩慢凍結)だと、氷の結晶が大きい。大きい氷の結晶が、食品の細胞を内側から突き破り穴をあけます(細胞が 20~30 ミクロン。緩慢凍結では、氷の結晶が 100ミクロン 程度)。冷凍した食品の解凍時、この穴から旨味がドリップとして流出し、また水分とともに味覚成分や栄養素も失われ、食品の歯触りも悪化します。
冷凍焼け・酸化
冷凍後の食品は長期間保管すると、表面から水分が蒸発しパサついた「冷凍焼け」と呼ばれる状態になります。これは食品表面の空気が蒸発して霜になり、またその霜が蒸発して再結晶化するといった現象により引き起こされます。
油焼け
また凍結保管中は、空気中の酸素の影響を受け食品中の脂質が酸化した「油焼け」と呼ばれる状態になります。これは緩慢凍結によって細胞膜にあいた穴や、奪われた水分の代わりに酸素が入り込み酸化を進行させることにより引き起こされます。
その他、タンパク質の変質も食品にダメージを与えます。なお、食品内の脂質でも酸化しやすいものと酸化しにくいものがあり、前者の場合保管方法にはより注意が必要です。例えばサバ等の青魚の魚類は参加が進みやすいです。
代表的な冷凍方式
1.エアーブラスト方式(空気凍結)
家庭冷蔵庫で普及している方法。冷やした空気を吹き込み、庫内の温度を下げ冷凍を行います。
2.リキット方式(液体凍結)
-25℃ ~ -50℃ の液体に、食品を浸け冷凍を行う方法。-50℃ でも凍らないアルコール等の液体により凍結させます。
3.コンタクト方式(接触式凍結)
低温の冷凍板に食品を接触させて凍結する方法。
4.液化ガス方式
-196℃ の液体窒素や -79℃ の液化ガスを、食品に吹き付けて凍結する方法。圧倒的に温度の低い媒体を利用し食品を一気に凍結させます。